(2児と向き合う日々は読書もままならず、今年初の図書館)
ニーハオ、ニホンコンです。
本選びは、その時の気持ちや思考がそのまま出るのが面白く。
左半分は毎度な中華もの。ずっと読みたかった中国のベストセラー。
欲望むき出しの生々しい表現が、今の中国を物語っているような。
左半分は「時間お金モノ」について欧米の思考が反映されたもの。
ニホンコン、がぜん興味があるのはこちら側。
ちょうど読み終わった「イギリス式〜」の中で、ニホンコンも経験した
「ネパールの物々交換」ネタがあったので、それを紹介。
(ネパーリーブランケット、とでもいうか)
これはニホンコンが10年ほど前にネパールのポカラという街で手に入れたもの。
先に申し上げておくと、これが物々交換でゲットしたもの。
そしてまたこれも先に申し上げておくと、
「双方合意のもと、あたたかな気持ちでやりとりが行われた」
なんてことは全くなく、もうタフな現地のおばちゃんたちの
食うか食われるかみたいな勝負だったのでした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ネパールのポカラという街では、衣服や文具、生活雑貨などの製品は、現金収入が
少ないために滅多に手に入らない貴重品ゆえ、自分たちで作ったアクセサリーや
工芸品を、こうして訪れた人たちと「物々交換」をするとのこと。
ニホンコンも旅の途中で要らなくなったものを売ったり、譲ったりしてきた
けれど、現地の人と、それも現地のものと交換ができるなんて素敵だワイ!
なんて軽く考えながらその場所に向かいました。
現地のバザールは、おそらく、これまで沢山の旅行客が訪れたのであろう。
かなり観光客慣れしたような感じは否めず、一目見て日本人と分かるや
否や、もう寄ってくる寄って来る。それも
「ブチュブチュ交換!」と叫びながら。
最初に聞いていて喜ばれると踏んでいた「ペンやライター」
などの日用品には目もくれず、腕時計とかカメラなどを指さしては
「ブチュブチュ交換!」と、また叫ぶ。
げ、話が違うぜ!と思ったのも時すでに遅し、でも魅力的なネパール工芸品も
捨てがたく、おばちゃんたちのギラギラした目と格闘することを覚悟する。
ここは値札もなければ、交換条件もまちまちゆえ、かなり気持ちの綱引き
勝負といったところか。そう思ったら値札がきちんと存在して値引きも
ぼったくりも一切ない日本のシステムは、面白みはないけれど、合理的且つ
「疲弊しない」ということが分かった。
先に勝負に出たのは一緒に行った日本人女性。
とあるシルバーのアクセサリーに目を止めたのだが、一瞬にしてその
欲しそうな顔を見抜かれ、相手は強気の一点張り。結局ブチュブチュ交換
では納得されず、プラスして現金まで払う羽目になった。
敵もさるもの、おそろしや。
ニホンコン、目をつけた紫色のブランケットがあったが、なるべく
引き分けにもっていくために、おばちゃんたちの様子を伺っていた。
よくよく観察していると、交換したがるものの傾向に気づく。
ベルトや時計、指輪などの「銀もの」と、靴下、手袋などの「衣料品」。
ここは一発勝負で終わらすべく、ええい帰りのことは考えるな!と
身につけているベルトをしゅるっと抜く。日本で買った安物だが、
バングル部分がごっついシルバーで、飴色の皮が結構気に入っていたけれど、
これはまた買えばいい話であって。
おばちゃん一同「オオ〜ッ」。
で、そのブランケットを指さすと、あっさり
「ノーノー」。
え?!ダメなんですかね?ベルトと毛布?十分じゃないのよ!
この心理戦は「欲しい」と思ったほうが負けゆえ、ニホンコンも
その時点でかなり後手に回っていた。まだ何か出さなくてはならず、
もう出すもんないよーと考えあぐねた結果、もう最後の手段で
ブラの紐をちらつかせる。
お色気作戦ではなく、ブラジャーもつけちゃうもんね作戦でいくことに。
いやいや!ベルトなしのゆるゆるズボンにブラジャーもない状態で
帰り道自転車1時間もこぐなんて!と一瞬よぎったが、ここはもう
一生に二度はこないであろう「土俵」だと割り切ることに。
おばちゃんもしぶしぶ「それならば・・」と言いながらも、ちょっと
嬉しそうな顔をしている。最初っからこれ出しとけばよかったとも
思いつつも、ちょっと奥入らしてね、と控え室に入れてもらい、
ベルトとブラジャーを引っこ抜いて差し出し、無事に
ブランケットはニホンコンのものになったのであった。
こうして、友好的に、とはほど遠い、半分身ぐるみがはがれた
ボロぞうきん状態で宿に戻ったのでありました。
救われたのは、その後続けた旅で、雪山に行ったり、寝袋が必要なほど
寒い宿もあったのだが、これで何とかしのげたこと。実際にはしのげては
いないのだけれど、「ないよかマシ」だった、ということ。
帰国後、同じものが近所のアジア雑貨屋で安く売っているのを見た時には
深く深く傷ついたのだが、これは、値段ではない、思い出と共に
ずっと大切にしたいモノのひとつなのである。
2月12日 日本/香港
後日談:
翌日日本人の男の子が大量のアクセサリーをもって帰って来た。
聞くと、先にこっちが持ち物をひろげ、おばちゃんたちが欲しそうに
寄ってきたら、「ダメダメ、これ欲しいんだったらそのアクセサリー
10個ね!」と、向こうを客扱い。最後はおばちゃんたち涙目に
なりながらブチュブチュ交換をしてきたとか。強敵。