(サソリの串焼き、写真左はタツノオトシゴ。サソリは20元=360円に対し、
タツノオトシゴは倍くらいの金額)
ニーハオ、サソリ女、ニホンコンです。
北京でサソリを食べました。
ここ数年、北京に行ったときには必ずチャレンジするのが
「サソリの串焼き」。
初めて食したのは5年前。屋台街で見つけ、誘われるがまま食べたサソリが
「カッパえびせん」風味で非常に美味しかったのを思い出し、今回も
北京に行くならば旅の土産話のひとつに、と屋台街に向かったというワケだ。
向かった先は王府井。国内外問わずオノボリさんが集まる、
東京でいえば上野、大阪でいえば道頓堀みたいなところか。
(誰か「中国の銀座」と言った人がいたが、銀座とはまたちと違う気が)
そこには全国各地の名物がその屋台街にずらっと並んでいるのだけれど、
最近では日本からの観光客向けにタコヤキなんかもおいていたりする。
ちなみに、先に断っておきますが、サソリは北京の名物でも
何でもないし、中国人でもそんなに日々食しているものでもない。ようだ。
何故かというと、道ゆく人々が「見てみて!サソリ〜」といって怪訝な顔を
しながら屋台の前をウロウロしていたから。
サソリ屋台の周りには、常に10人以上の大人たちが、
皆「興味はあるけど、コワイ」。な表情で遠目で見て居た。
日本の屋台でそんなものあるか?と考える。思いつかない。
こういうとき、我れ先に!と口火を切るのは何とも気持ちがよい。
「オジさん、さそりを一串おくんなまし!」というニホンコンに
「オオ〜ッ」とどよめきがひとつ。
そして背中には「ちょっとコイツ食べる気ダゼ」な視線を
感じながら、心の中で「眺めるだけじゃ無いんザマスわよ!」と、
少しだけ優越感を覚えてみる。
けれども、あまりにも皆および腰な態度に、少々不安さえ
感じ始めたりする。あれ?5年前はもっとフラっと食べた筈なのに。
もっと皆気軽に口にしていた筈なのに。こんなにどよめかなかった
筈なのに。
と。
とはいうものの、異国にて注目を浴びるのは悪い気もせず、
ジュージュー焼き付ける屋台のオヤジを涼しい顔して眺めたり
しながら、待つこと5分。
オヤジから、その尻尾がブランブランしてやまないサソリの串
(5匹連なり)を受け取ると、いやはや通りがかりの人も見るわ見るわ。
注目の的でした。
「いやいや、たかがサソリ食べるだけなんです、そんなにジロジロ
見ないで下さい」と思いながらも、それまたちょっと勇者の勲章を
頂いたようで(勝手に)、しばらくその串をブランブランしながら
歩いてみる。
ニホンコン、あまりに注目を浴びたゆえ、なんだか落ち着かなくなって
ガブリと上から二匹、かぶりつくことにした。
と、瞬間。激痛が走る。
「い、痛いーーーーー!!!」
何かがニホンコンの口内を鋭く刺し、ビックリと痛いのでパニック。
これ以上噛んだら危険かも、と、二噛み目寸前でストップし、
しばし考える。
「サソリの毒にやられたかも」
「いやいやさすがに毒は無いだろう。焼いてるし」
「いやいや海外旅行はハプニングの連続であって」
と、グルグルと考えてみた結果。
それは「サソリの細くて長い手足」だということが判明。
ああ、命だけは何とか、と一番チキンハートだった自分に
情けないやら笑うしかないやらで、そこからは一気に
奴らをムシャムシャと食らう。
お味のほどは。
「油っこすぎた&しょっぱすぎて味不明」。
5年前は確か20代。きっとジャンクフードもそれなりに
食していただろう時代の味覚と、それからの5年間で
ハンバーガーを食べなくなり、和食一辺倒な生活を
し続けた我が身の舌は、相当な変化があったようだ。
勢いよく乗り込んだサソリ道は、意外にも的外れな
結末でした。
とかいって、また次回北京にいったらリベンジするような
気がする。いや、次はリッチに(?)「タツノオトシゴ」にトライだ。
11月25日 日本/香港