いきなりですが、歯列矯正をすることになりました。
ニホンコンです。
かれこれ何十年も思い続けて来た「歯の矯正」。
何でまたこんな年になって始めるのやら。
別に歯並びの悪さがコンプレックスになる程青春でもなければ、
歯並びをキレイにして素敵な彼でも捕まえたいとも思うワケでもなく、
人前で「私、『歯だけ』が悪いんです」と平気で言えるくらい図々しくなった
というのに。
それは、たまたま友人から紹介されたとてもよい歯医者さんに
「このまま行くとあと10年で歯が割れてきますよ」と言われ。
何でもニホンコンは噛み合わせが悪く、数本だけ異常に負荷が
かかる歯の使い方をしているらしく。それゆえ、今はまだ大丈夫な
ものの、あと10年もこのまま酷使し続けると、もう限界になるとのこと。
「長く自分の歯でいたいと思うのであれば、早めに矯正をすることを
すすめます」の一言で決意。
そして門を叩いたのは紹介された矯正歯科。
先生は手際よくアゴやら噛み合わせやらを検査してくれ、
非常に分かりやすく、そして親切に色々教えてくれた。
そしてニホンコンが問診票の質問欄に書いた
「いたいですか?」
「さむけはしませんか?」(実際したという友人がいた)
という愚問(そんなこと覚悟の上で来い)にも丁寧に答えてくれ、
大きくうなずきながら「さむけはしません」と否定してくれたのが頼もしく、
ああこの先生なら任せても大丈夫だなあと。
極めつけには「歯並びを整えると『さ行』が言えるようになりますよ」と。
舌の癖を治すこともできるらしい。これにはかなりぐっときた。
そう、ニホンコン滑舌が非常に悪く、さしすせそ、がちゃんと言えない。
どのくらい言えないかというと、初対面の人に自己紹介するとき、
かなりの確率で以下のやりとりが行われる。
ニホ:「坂下です」
相手:「タカハシさんですね」
ニホ:「いえ、サーカーシータです」
相手:「タカシタさんですか?」
その後「いえ、サシスセソのサです」と言うのだが、電話口だと
やはりタチツテトに聞こえるみたいで、やりとりは更に続く。
矯正以外にも滑舌に関しては訓練士と一緒に特訓をするらしいが、
これで中国語の発音も少しはマシになるのであれば一石二鳥である。
初回は色々検査をしながら、この日は歯に隙間をつくるべく
歯間にゴムを挟む作業が行われました。ここの歯列矯正での過程では
一番イタイと言われる過程だそうだけど、そうでもないような。
しかもこの歯医者、素敵なことに各診察台に小さな画面があり、
そこで好きなDVDを見ながら診察できるというもの。
かくして、ニホンコンの矯正ライフが始まりました。それにしても
気の遠くなるような年月(3年とか?)と気の遠くなるような費用
(ニホンコンの金銭感覚なら世界一周ができる)に若干おののきながらも、
えーいここで乗ってしまわずにいつ乗るか!と清水の舞台から、
いや天安門から飛び降りるくらいの覚悟で開始することに。
ただ、初回から大失敗。
歯医者でDVDなぞ見たことないニホンコン。新作が勢揃いした
DVDリストに迷いに迷い、選んだ映画の「さくらん」(安野モヨ子作/
蜷川実花監督)。見始めて大後悔したのがだ、花魁の話で、
最初からずっと濃厚な、そしてめくるめくベッドシーンばかり・・
時折助手さんが気を使って「これ、私マンガで持ってるんですよ・・
面白いですよね・・(きまずい)」と声をかけてくれるのが余計恥ずかしく、
どうしていいのやらな時間がずっとずっと続く。
たいして集中しないだろうと、見たい度が低い映画を選んだだけに、
「いや、別に見たかったワケじゃないんですよ」と弁解したくともできず、
「これが芸術なんですよ!」と開き直る勇気もなく、「いや、前々から
いつか見れればなと思ってたんですよ」とボソリと言うのが精一杯。
これから3年も通うというのに、初回から消えてしまいたかった。
そうこうしていたら、歯がうずいてきた。
来週自分の誕生日を控え、このうずく歯よ沈まりたまええ!と願うばかり。
(もう散ってしまいましたが、今年もキレイでした)
4月19日 坂下日本/香港